追想

私は無口な子供だった。
人は何でいつも私を睨んでいるのだろうと、
いつも恐怖に怯えていた
3歳にして、自分の存在に疑問を持っていた
自分の存在は人の邪魔になるのだとおもって、家出をした。
母は私の育児を放棄していた。
私は実験台のように
血の繋がっていない元教師のおばあちゃんに育てられた
そのおばあちゃんが死んでからは、母に育てられた
母はペットの飼育が上手だった。
犬に買物を仕込んだりした。病気で寝込んでいると犬は海から魚を取って来たりしたそうだ。(腐って臭ったらしいが..)
そうして私は母のペットのように育てられた。

可愛くない子供に育った。
面白みのない子供だった
楽しいことは何も無かった

が、そんな私にかずこねえちゃんは初めて屈託なく笑うことを教えてくれた人だった

かずこねえちゃんと一緒に行った海
あのバスの中でさえ、わたしは緊張していた
かずこねえちゃんに話しかけられて緊張していた

かずこねえちゃんは素晴らしい女性だった
私より10歳上だった
いつも家は完璧に美しく片付けられていた。
料理は信じられないほどうまかった。
そして、忙しい中、面白い話題が後から後からやってきて抱腹絶倒の毎日だった
いろんな人がかずこねえちゃんのうちにやってきた
私の部屋に手作りのカーテンを付けてくれた

暗く青ざめた顔の私はいつのまにか笑顔が普通になっていった
学校の先生からも明るくなったといわれた。

かずこねえちゃんは正義感も強かった
だから、私は大人びて可愛くない子だとかずこねえちゃんのお母さんにいわれて
排除されそうになったのに、おねえちゃんの正義感と優しさですくわれたんだ

かずこねえちゃんはロマンティストでもあった
ドナウ川のさざなみがすきだった。
初恋の人がくれたオルゴールらしかった

おねえちゃんには嫉妬するほどステキなロマンスがいっぱいあった。

おねえちゃんが病気で入院している時、見舞いにいけなかった..
大叔母さんの葬式で田舎に帰った時だったから
火葬場に行った足で病院に行くのははばかられたからだ

二度度会うことはできなくなった
二度と会えなくても
想い出は永遠なんだなぁ
いろんなことを思い出せるからね。