深い海

幼児の頃
流した涙は計り知れない
いつも泣いていた
あんなに涙を流している子供を
今だに見たことがない
悲しい瞳に
常に世界は怖く恐ろしく映り
本当に空が恐ろしい暗雲で覆われた嵐の時
なぜか安心した

シクシク泣き続け
泣くのを叱られ
またひきづりながら泣くのを抑えきれず
息が止まるかと思った日々

流した涙は暗く深い海になり
捨てさせられたわたしの悲しみを
沈めている

探しに行かなくちゃ

怖くて暗い深い海
大きな海のはずなのに
どこにあるかさえわからない


なぜあんなに、悲しい世界を
母は用意したのか

理由なんてどうでもいい


ものごころついて
私は空ばかりみあげていた
自分ほど幸せな人間はいないと思うほど
空や憧れは身近にあった

暗い海のことは忘れていたけど

私はものすごく悲しかったんだ

探検者のように
海を見つけに行かなきゃ

沈めてしまった悲しみを見つけ出すため