ソネット 1

星が大きく輝く夜は星に見とれて

疲れを紛らわすためにブラームスのワルツを微かに口ずさむ

洒落たカフェーの前の道には

美しい絵画のようにところどころの枝に木の葉が残り

私は落ちていった多くの木の葉を見る機会もなく

明日にはまた知らないうちに最後の一葉が散っていくかもしれない



赤く色づいた上品な形の大小の葉がある洋風のこの木から

どれほどたくさんの木の葉が風に舞って落ちていったのか

名も知らぬこの美しい木は、もしかしてあのマロニエという木ではないかと

マロニエはどんな木であるのだろうかと気にかかったりしつつも

星と木々の木の葉と冷たい夜風に充血した目も癒されてゆく



そのさきには目映く煌くホテルのイルミネーションが世紀の祭典のように華やかで

またその先にはさらに無数の車のライトが犇めいている、というより、蠢いている

今日はそんな赤坂見附まで歩いて地下鉄に乗って帰った